九月の断章

日々の研究や日常から感じたり考えたりしたことを綴っています。

ベルギー滞在記① ルーヴェンの中の第一次世界大戦

今回のベルギー滞在の拠点としたのがルーヴェンというブリュッセルから見て東隣の都市。

さあ、ルーヴェンヘ。

 

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ガラス張りのモダンなルーヴェンの駅で降りると、最初に目に入るのが、大きな記念塔だ。

 

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プレートの右側には市民の、左側には兵士として、第一次世界大戦で亡くなったルーヴェンの人々の名前が刻まれている。さらに壁画が塔を取り囲む。

 

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駅とこの記念塔を背に大通りを真っ直ぐ進んでみよう。街並みは煉瓦造りの建物が並んでいて外観は綺麗だが、実は軒並み第一次世界大戦後に建て直されており、建物には再建された年が刻んである。

ベルギーは、第一次世界大戦が勃発すると、シェリーフェン・プランのもとドイツ軍(ドイツ帝国)によって侵攻され、そして多くの街や古い建物が破壊されたためだ。

 

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したがって、ルーヴェンは街全体が第一次世界大戦の記念碑のようになっているとも言える。

 

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▲ちなみにこれは教えてもらった、Pinocchioと看板にあるお店の後ろの家が、壊されずに残っている古い建物だそう。(確か16世紀くらい〜だったと聞いた気が)

ゆえによく見ると少し歪んでいる。

ここはもうGrote Marktという大広場のあたりで、旧市庁舎が建っている。▼

 

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美しい旧市庁舎は15世紀末に建てられたゴシック様式ルーヴェンへドイツ軍が進軍した際には彼らに使用されたため、旧市庁舎は壊されずに済んだという。

しかし近くの建物には、ドイツ軍によって焼かれた跡も残っていた。

 

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▼旧市庁舎の向かいにあるこのカフェなんだが。。明らかに植民地主義時代に作られたデザインで、黒人であろう女性がかたどられている。


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実はベルギーは、1962年までコンゴを植民地として持っていた。それが多民族が暮らす背景ともなっている。


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▲可愛くて撮った建物

 

また、近くにはルーヴェンカトリック大学の大学図書館も。

2度の世界大戦で被害を受けており、今の図書館もその後再建されたもの。

第一次世界大戦が始まってすぐ、ドイツ軍の攻撃によって焼失し、各国に図書の寄贈を呼びかけたそう。

建物には図書を寄贈した国のシンボルが装飾されていて、日本もその一つで、屋根には菊の御紋を抱えた狛犬が鎮座している。

 

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図書館の中も少し見た。図書館再建に貢献したアメリカのフーバー大統領の像はその存在感があった。

メモ:シヴェルブシュの『図書館炎上―二つの世界大戦とルーヴァン大学図書館』という本があるようなので、今度探してみよう。。

 

あと、写真撮り忘れたのだが、大学図書館の前には『昆虫記』を書いたファーブルの曾孫で芸術家のヤン・ファーブルの作品、コガネムシの刺さった「トーテム」がある。

確か大学への皮肉も込められているんだったか。受け取る意味は人それぞれあるだろうけども、古い建物を再建した街並みに突如現れるトーテムのシュールさのコントラストに目を引かれるものがあった。

 

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はい!ベルギーでの初ビールのお時間です。

Kwakというグラスが特徴的なベルギービール。すっきり飲みやすい。▼

 

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▲そしてサラダがでかい。(僕が頼んだのはギリシャ風のでイカフリットがのってる。)

ここのDe Blauwe Schuitというレストランにはなんと孔雀が放し飼いになっていた。

天気のいい日は、こちらではだいたいみんな外で食べている。

 

僕は心地よい午後の風に吹かれながらビールを飲み干した。