九月の断章

日々の研究や日常から感じたり考えたりしたことを綴っています。

009への愛を語る。

こんにちは。梅雨ですね☔️

さてこの度、ペンネーム(=研究以外)にてトークイベントを企画していただくことになりました。
テーマは「サイボーグ009(ゼロゼロナイン)」!

 

★詳細はこちら↓↓

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登録フォーム:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScYlSIydAu_r8W7-cenCuygUKf8XpmDs9sM7S9gC5YN0LGRGg/viewform

 

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僕自身は「サイボーグ009」のファンは、忘れもしない中3の10月からやっていますが、同じ世代では知らない人がほとんどかなという印象です。もしわかる人がいたら語りたい。
作者の石ノ森章太郎といえば、仮面ライダーや、レンジャーものシリーズの漫画原作者でもあります。特撮好きだけど知らなかったって人も、原作:石ノ森章太郎(か石森プロ)ってクレジットを実は見たことあるはずです。

 

そんな石ノ森によってか描かれたサイボーグ009は、アニメや漫画好きな人にもぜひ知ってほしい作品です。
作品の魅力はさることながら、石ノ森先生にはめちゃくちゃ先見の明があるので、”サイボーグもの”、”能力もの”や、”キャラクター萌え”などなどあらゆる要素の草分け的作品としても面白いと思いますし、
平成に入ってからも繰り返しリメイクされており、 漫画・アニメ史の観点からも興味深いと思います。
リメイク作品では、「攻殻機動隊」の神山健治が監督したことも。

 

サイボーグ009」は、一言でいうなら9人のサイボーグ戦士たちが、戦争のための試作品として自分たちをサイボーグに改造した悪の組織と、人知れず戦う物語です。
しかし戦う相手は当初から登場していた悪の組織だけでなく、後から「天使」「神」などのモチーフも登場し、「悪」とは何かについても哲学的な問いを投げかけられます。

 

トークを企画していただいたkamosさんは、個人が日常の中で感じる葛藤の解決など卑近なものまで含めて、「平和」を広く考える集まりだそうです。
今回取り上げる「サイボーグ009」は、根底に流れるテーマとして「平和」と「戦うこと」を意識し、「善とは、悪とは何か?」を問う漫画作品であり、現代でも繰り返しリメイクされています。

根底にはそのようなテーマがありますが、まずはこの作品自体の興味を持っていただけるように紹介、お話できればと思っています。
その上で作品としてのメッセージや、なぜこのようなメッセージや問題意識がでてきたのか、といった作品の生まれた背景などを読み解いていきます。

 

実はこの作品、僕が「ドイツ」という国に興味を持った、最初のきっかけにもなりました。
サイボーグ009といえば、その名の通り仲間たちは9人いるのですが、実はメンバーのバックグラウンドが全員違っていて、とてもインターナショナル。
「009?007じゃなくて?」というくらいの認識の方でも50代より上の世代だったら、片目に髪のかかる主人公009のビジュアルはなんとなくでも見覚えがある方もいるのではないでしょうか。

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涙がつたう009の横顔

 

こちらからオープニングが見られます。→https://youtu.be/ARhmCPmapnU

[✳︎79-80年に放送されたカラー版アニメ(通称 新ゼロ)のオープニング。009の横顔を流れる一筋の涙のビジュアルは、一躍視聴者へインパクトを与えたのではないでしょうか。
ちなみに10歳くらいの時に当時の放送を見ていた世代を計算するとちょうどいま50歳くらいということにジェネレーションギャップ的な衝撃を、今、受けました……。なるほど、今年は新ゼロ40周年なんですね。
まあ僕自身、平成版アニメ(通称 平ゼロ)から入った世代ではありますが、新ゼロは高校生の時に見ました。新ゼロには制作スタッフの作品愛が詰まっています。新ゼロ見ていた方もこれから見る方もよければいつか語りましょう。]

 

9人のサイボーグのなかでも僕がめちゃくちゃハマってしまったキャラクターが、004。
ドイツ人。
三十路。

髪型はキノコ。
名前はアルベルト・ハインリヒ。
てかどっちもファーストネームなんですが。ショー先生、ネーミング適当すぎるよ…。(だがそこがいい)

 

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ゲストヒロインに冷たく当たる004の茶番

彼は東ドイツにバックグラウンドがあります。
そこで僕は、彼がいた東ドイツがどんな国だったのか知りたくなったのが、ドイツに関心を抱いたきっかけでした。
ちなみに高校生になって初めて買ったドイツ本、東ドイツの「モノ」を少々興奮を抑えきれていない語り口で紹介していく『ニセドイツ』の著者がいまの指導教員であるのは、なんの因果かと思います。

 

ただ、今ドイツ史やっているのはそんなに単線的な帰結でもなく、学部時代には日本史もけっこう勉強していました。
無節操にそれ以外の分野にもいろいろと興味はありましたが、歴史学の立場からのものごとの考え方はそれなりに学んでおり、
歴史学の視点からものごとを見ると、むかしハマった作品も当初のオタク的な見方だけでなく、新たな側面も見えるようになってきました。

 

さて、サイボーグ009の連載開始当時は、1960年代。冷戦の溝が冷え込む時期でありました。
ハインリヒやほかのキャラクターの設定が当時の時代状況を反映している点でも、特に1960年代当時の日本での出来事やものの見え方がわかって面白いのですが、
さらにいうと、当時の日本の状況を踏まえると、この作品自体の物語、コンセプトとしても、相当に時代的文脈に依存して生み出されたということがわかります。

 

さらに、サイボーグ009は、現在に至るまで繰り返しリメイクされ続けており、とくに近年では3Dアニメの実験の場にもなっていると思います。
また、とくに2012年以降のリメイク映画は、すでに原作者がいない時代に原作を離れ、現代に合わせた設定やストーリーが施されており、アニメ史の中だけでなく、現代における時代状況の反映やリメイクの意味なども考察の対象として興味深いと思われます。


2012年のリメイク映画「RE:Cyborg 009」のキャラデザ発表当時、これまでのデザインとめちゃくちゃ違いすぎて(例えばハインリヒの髪型がキノコじゃなくなるとかね)、どれだけファンの間で議論され、ネタにされ、そうして受け入れられてきたことか。

 

現代でも繰り返しリメイクされるサイボーグ009

 

そこには9人の個性豊かなキャラクターの魅力もあり、

 

(古参の009ファンの方が言ってたけど、009は「キャラ萌え」の草分け的作品でもあるらしいです。
……

……わかります。
齢15にして三十路のドイツ人にどハマりした人間として全く否定できない。)

 

さらに「サイボーグ」という、近未来的な設定を1960年代当時に取り入れた石ノ森の先見性、
などなど、
現代でも色褪せることなく、いやむしろ現代においてこそ、その設定がよりコンテンツとして受け入れられるようになり、その現代で際立つようになった設定をリアリティを持って描けることこそ魅力となっているのではないでしょうか。

 

そしてより現代的なサイボーグ009から入っても、ぜひ原作の良さも知ってほしい。

 

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さて、ここまでは、序章。
009の魅力については、まだまだ全然話し足りない。

 

当日は、「サイボーグ009」のストーリー、テーマと時代的文脈を相互に読み解きます。
原作や映像も見ながら、各キャラクターのバックグラウンドについて、
さらに原作から歴代のアニメ、リメイク映画までの流れを見ていこうと思います。

 

まさにテクストとコンテクストを、参加者のみなさんと一緒に読んでいきたいと考えています。

 

というわけで、よかったらお暇な方は遊びに来てください。
萌えに身を任せていっぱい喋ってしまうだろうと思っていますが、ぜひいろんな人の感想も聞いたり、議論をしたりしたいです。
とくに昭和の作品なんか知らないという同年代の方もぜひ!!
単にアニメ、漫画好きという方でも、サイボーグという設定が、最新のリメイク映画ではどのように生かされ、描かれているのかも、めちゃくちゃ面白いと思います。

 

参加希望の方はブログ冒頭の登録フォームから申し込みください。
会場でお会いするのを楽しみにしております( * ॑˘ ॑* )